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国立大学と私立大学の偏差値を比べてはいけない3つのワケ

 

 

 

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夏休みも終盤になりましたね。受験生の皆さんは部活を引退し、本格的な受験勉強生活に入る頃でしょうか。志望校もそろそろ固める時期ですね。
 
本稿では、志望校を決める上で参考にするであろう偏差値のお話です。
 
大学時代、大手塾講師を4年勤めていた際に、偏差値関連で一番多くあった質問が、「国立大学と私立大学における偏差値の違い」についてなんですね。
「科目を絞って私大専願にしようと思うけど、偏差値が高いため躊躇している」など。
そのような疑問を持つ皆さんに少しでも役立てれば、と思います。

偏差値について

まず初めに、国立大学と私立大学でどの程度偏差値に違いがあるのかを見ていきます。

以下の偏差値をご覧下さい。

  • 慶應(経)  :   70.0
  • 東京(文II):   67.5
  • 上智(経)  :   65.0
  • 東北(経)  :   60.0
  • 法政(経)  :   57.5
  • 広島(経)  :   55.0
 ある予備校が公開している偏差値表から、難関大の経済系学部の数字を適当に抽出しました。
予備校によって、あるいは時期によって数字に多少の変動はありますが、序列はほとんど変わらないと思います。
大学の良し悪しや就職の有利不利は置いといて、入試難易度が一番高いと言われている東大の偏差値が一番でないことに違和感がないでしょうか。
これは、予備校の出す偏差値が、私立大学が高くなる傾向にあるためです。
 

予備校の偏差値算出方法

 
予備校が出す偏差値というのは、生徒の大学合否結果をアンケート等で調査し、自社で行った模試の成績と照らし合わせて算出しています。
例えば、Aという大学について、以下のような合格分布だったとします。
 
模試偏差値70 合格者2人 不合格者4人 :合格率33%  
模試偏差値65 合格者3人 不合格者3人 :合格率50%
模試偏差値60 合格者4人 不合格者2人 :合格率67%
 
上記分布表をもとに、A大学の合格割合が60%なり、50%なりのライン が、模試の偏差値でどれ位なのかを算出するわけですね。(A大学の場合、50%ラインの偏差値が65)
実際には少し複雑な計算になりますが、原理としてはこのような感じです。
何百万人も模試を受験する大手予備校には膨大なデータが集まりますので、より細かい分析ができ、信頼性のある数値になるのですね。
 
では、なぜこの算出方法で、国立大学と私立大学の偏差値に差が出るのかを考えたいと思います。
 

1.対策が必要な入試問題を出題する私立大学は偏差値が上がる

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 Bさんの例で考えてみます。ちなみにこれは実在の友人です。
  • 模試偏差値:70
  • 入試結果:京大・経済/合格 早稲田・商/合格 上智・経済/不合格
Bさんは京大が第一志望で、もし落ちたら浪人する覚悟でした。しかし、国立二次試験は一発勝負。入試の雰囲気を確認したり、肩慣らしの意味も兼ねて、全く対策をしていない早稲田や上智を受けました。結果、運よく早稲田は受かりましたが上智は落ちたとのこと。
 
 この結果、予備校の分布表では、偏差値65のデータで京大、早稲田は〇がつきますし、上智大は×がつきます。
このように、模試上位者が対策せずに私立大を併願受験し、不合格となればなるほど、その大学の偏差値は上がっていきます。
 
この傾向、オーソドックスな問題を出す大学より、傾向とその対策がはっきりしている「癖のある」問題を出す大学に顕著に現れます。例えば、「日本史は戦後史の論述式難問が必ず出される」「英語は文法問題が難問且つ分量・配点が比較的高い」など。
偏差値を嵩上げして知名度向上を図りたい中堅私立大なんかの常套手段です。
 
 対策をしないで難関私立大を受けるBさんのような人、案外多くいるものなんです。滑り止めが目的ではなく、肩慣らし目的。受かればラッキー、といった考えですね。
難関国立大に合格できる学力を持っていても、英・国・社に特化した難関私立大の合格は一筋縄ではいきません。ましてや、問題の傾向に明確な特徴があり、対策が必須な学部であれば尚更です。
 
これは、逆のパターンも同じことが言えます。私立大を第一志望とし、国立大は落ちて当然、受かればラッキー思考で受験する場合。ただ、国立大は受験科目が多くなることから、圧倒的に稀なパターンですね。
 
 

2.科目数が少ない大学は偏差値が上がる

 
これはもっと分かりやすいですね。
私立専願であれば、英・国・社のみが得意な学生が数多くいます。彼らは当然、模試における「英・国・社」の点数は比較的高くなるわけで、偏差値も高くなります。
 
Cさん、Dさんの例をもとに考えます。(塾講師時代、同じシチュエーションの生徒がいました)
2人とも高校3年の4月時点は、ほぼ同じ学力でしたが、Dさんは早くに私立専願に
切り替え、3科目に特化して勉強しました。
その結果、2人の偏差値は以下のようになりました。
 
Cさん:高校3年春:5科目合計偏差値:60
      高校3年秋:5科目合計偏差値:65
 
Dさん:高校3年春:5科目合計偏差値:60
      高校3年秋:3科目合計偏差値:70
 
 
この場合、単純な偏差「値」の比較で言えばDさんの方が上ですが、どちらが優秀かは一概には言えませんね。科目数が違えば偏差値での単純比較は出来ないのですね。
 
これは私立大に限りません。受験科目が少ない国公立大学も同じことが言えます。
最たる例は、外大ですね。科目数が少ない上に英語の傾斜配分がものすごく高い場合が
多いですので、偏差値も当然高くなります。
 

3.入学辞退者数が多い大学は偏差値が上がる

一般的な私立大学は、国立との併願や別の私立大学、はたまた同じ大学の別学部との併願者がほとんどのため、30%~50%程度の入学辞退者がいます。
対して難関国公立大学の場合は、どんなに高くても10%以下です。
 
ではなぜ辞退者が多いと偏差値が上がるのでしょうか。 
これも例を挙げて考えてみます。架空のE大学。
 
E大学は、辞退者の割合が毎年50%ほどあり、募集定員は100名の大学です。
ある年の合格人数と入学人数は以下でした。
  • 正規合格者:150名 内、80名入学
  • 補欠合格者:30名   内、20名入学
 ほとんどの私立大学は、E大学のように定員より多くの合格者を出します。
辞退者が多くて定員割れすると収入減が減るからですね。
一方で、正規合格者を出しすぎると、万が一辞退者が少なかった時の対処に困りますので、補欠合格制度と併用しながら合格者数を決めています。
 
さて、E大学の場合、予備校は偏差値をどのように算出するのでしょうか。
 
辞退者の人数に関わらず、正規合格者150名の学力を基に算出します。
しかし、半数の学生は実際に入学しませんし、且つ辞退者の大半は成績上位者です。
更には、入学者の2割に当たる補欠合格者の学力は、 計算対象外なのです。
 
 

f:id:sengupta:20170816170457p:plain左記のグラフをご覧ください。数値を極端にしていますが、予備校のランキングで使われる偏差値は60~80、実際の入学者の偏差値は55~70となり、乖離があることが分かります。

つまり、入学辞退者の割合が大きいほど、また繰り上げ合格の割合が大きいほど、合格者と入学者の学力レベルが乖離し、結果として偏差値が高く見えるのです。

 

 
 定員の何割増しで合格させるかや、補欠合格の仕組みが大学ごとにバラバラであり、年度によっても変わりますので、どの程度偏差値に影響しているのかは一概に言えません。
しかしながら、2016年度より、定員を超えて入学させた場合の助成金カットの基準が厳しくなったため、今後補欠合格の割合はより増えていくことになるでしょう。
 
 

まとめ

 本稿を纏めます。
私立大学の偏差値が上がる主な要因は以下です。
  • 対策が必要な入試問題を出題
  • 科目数が少ない
  • 入学辞退者数が多い

これ以外にも、マーク式と記述式の違いなど、多くの要因がありますが、大事なことは、偏差値に惑わされないことです。

統一模試などの偏差値に一喜一憂し、志望校を安易に決めないことをお勧めします。

行きたい大学の過去問を解いてみて、大学別の模試で感触を確かめてからでも遅くありません。 


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